アリストテレス『形而上学』を通読

大学の時に購入し、あまりの難解さからごく一部分を読んだだけで書庫入りになっていた、アリストテレスの『形而上学』。

これを今日、一応読み終えることができた。この本との出会いから実に25年もかかった(笑)

とにかく、要求される前提知識が多すぎ、さらに「論理学」の基礎を学んでいないと、何が書いてあるのか、さっぱりわからない。

この『形而上学』は、「現代のわれわれからすると、ほとんど何が書いてあるのかわからない」と言われることがある。とても難解な書物だと言われている。しかしアリストテレスと言えども同じ人間だ。「何が書いてあるのかわからない」ということは無いだろう。そう思って、何とか解読する方法は無いものか?とずっと思い続けてきた。

要するに「わからない」というのは、解読する方法が無い、ということである。その「解読する方法」というのが、アリストテレスの一連の論理学書である『オルガノン』という名で呼ばれる6つの論理学書だ。

この論理学書には何が書いてあるか?といえば、いわゆる「三段論法」のやり方だ。

一般的に言われる「三段論法」で有名なのが

”すべての人間は、死ぬ
ソクラテスは人間である
ゆえに、ソクラテスは死ぬ”

という論証。広い意味の大きさをもつ言葉の指し示す対象に、より狭い意味の大きさを持つ言葉の指し示す対象が含まれることを示して、広いほうの性質が、狭いほうの性質である、と示すのである。

これは「古典論理学」と言われる、今の数学的論理学のおおもとになった原始的な論理学だ。高校の数学で教えている「集合」は、この「古典論理学」を記号で表したもの。

ただ、アリストテレスの論理学では細かい規則が多く、書かなくてもいいような事まで書いてあるので、頭が混乱するのだ。だが、そこは「論理学」という分野を史上初めて作った大先生だから、しかたがない。またこのような思考も、今のようにあまりにも「合理化」されてしまっている思考方法よりも、「なんでそうなるの?」ということを納得できるから良い。公式で覚えている規則が「なんでそうなるのか」考えてみることも良い。

「三段論法が、なぜ正しい論証なのか」ということが良くわかるだろう。

この「論理学」こそが、この『形而上学』を曲がりなりにも解読する鍵であることに、長い間気が付かなかったことになる。あとこの書物の精確な解読のためには『自然学』という書物を読んでおく必要がある。

様々な前提知識が必要なことを知らずに、いきなりこの『形而上学』に挑んだのは、無謀な試みだったのだ。

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『形而上学』は、「ある」「存在する」ということはどういうことか?ものはなんで存在するのか?ということを追求した、論集である。

もともとはバラバラになっていた小さな論文を、後世の人が集めて編集した。

だからアリストテレスは『形而上学』などという論文を書いたことは無い。

後の人が、勝手に名前を付けただけ。

しかしそれぞれの論文で追求されている主題は全て「あるとは、何か?」という問題に向かっている。この意味で後の人が編集して一冊にまとめた理由も頷ける。

この本の内容をごく簡単に説明すると、「ものが在る、ということは目の前に現実に在るからだ」ということである。これ以外に、「ある」ということは言えない。

ものは「そうなる可能性のあるもの」と「現実にあるもの」の二形態をとる。

例えば、「鉄の塊」。

これが何らかの「運動」をすれば「車」になったり、「鉄骨」になったりする。

この「運動」は、職人が加工をすることである。

『形而上学』では、この「運動」の一番の原因は何か?ということを追求し、それを「天の運行」である、と言う。

つまり、宇宙の動きが、「ある」を作っているのだ、と。

これを「不動の動者」「動かないで、全てのものを動かすもの」「神様」と言っている。

当時天体の動きは永遠に変わらず同じ動きをするものだ、と考えられていたから、アリストテレスはそう考えたのだろう。

今風に言えば「エントロピーの増大」とか、そういうことになるだろう。

まとめて言えば

ものごとが在る、ということは宇宙の法則の力である、ということである。

これは今も昔も変わらない真実である。

自然の力があるから、私たちは存在する。別に人間が人間を作ったわけでは無い。

アリストテレスは、数字を実体が無い、人間のアタマが作ったものである、という意味のことを言っている。

そんな「数字」が、人間を作れるわけが無いではないか?

さすが万学の祖、と言われるアリストテレスの考え方は鋭い。今の世の中、みんながみんな実体のない「数字」に振り回されているではないか?

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